築古不動産賃貸業はじめはじめました!

不動産賃貸業の軌跡を綴っていきます。

公務員って「個人事業主」になれる?

結構調べても正確にスッキリまとめてくれているサイトがなかったので、ここに備忘的に記述していこうと思います。

公務員(ここでは基本国家公務員を対象として考えています。)個人事業主になって良いのか?

ついでに法人登記して社長(役員)になって良いのか?について。

目次:

はじめに

まず、以前にも書いているが、厳密には自分は公務員ではないです。

が、就業している法人では、規定上は国家公務員準拠とか、みなし公務員いう言い方で、NGOだのNPOだの、どれに該当するか言及はしないが、特殊な法人で、国家公務員の規程をかじったような準用規定が並んでいる

考え方としては、国家公務員ほど厳しくないが、書いていない事でも個々の取り扱いは国の扱いに準じて決めていくのが基本になっている。
給与規程にしかり、旅費規程にしかり、就業規則にしかり。
なので自身の法人で個人事業主や副業に関する点は、建て付けは少し違えど、準用規程に、いわゆる、「職務専念義務」として、営利企業の役職員や自らが営む事は出来ない事が明記されている。

これが国家公務員法第103条に連動する副業禁止規程になっているかと思う。

国家公務員法副業禁止規程

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000120_20210901_503AC0000000036
(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

そして、国家公務員法には人事院の方で出ている通達に基づき、一定規模以下の不動産賃貸業は無許可で行うことが認めて、一定規模以上でも許可をもって行うことが認められている。
これは、相続などで自分名義になった不動産、転勤により住む事ができなくなった場合に家を貸し出すための賃貸が想定されており、一定規模以下と判断できる基準も定められている。
https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/14_fukumu/1403000_S31shokushoku599.html

営利企業の定義

例えば有名な話だけど、下記に該当すると営利企業を自ら営むこととされ、禁止である事が明確化している。(本業に差し支えるから)

・5棟10室以上
 区分所有者で9室までや、戸建を4棟までは無許可で良い。これを超えてしまうと禁止事項に該当。
 でも、この規定深掘りすると、5棟と10室がいずれか条項として独立しているので、戸建て4棟と、区分所有者9室の計13件までは認められるかと思う。ただ、ここまで持つと下の収入制限には絶対引っかかるだろうが。。。

(追記)
通達解釈は各地方自治体で異なると思うが、所得税法における事業規模の解釈には、1棟=2室と計算して、合計が9室以下と解釈されるものがあるようだ。戦う余地はありそうだが、頭の片隅に参考まで。

・収入500万円以上
 これは利益ではなく、収入(売上)総額になる。月平均で41万円くらい。単身者向けの一般的な賃貸物件で言うと4〜6件くらいだろうか。

・旅館ホテル等の特定の業務の用
 流行りの民泊や、レンタルオフィスとか、レンタル倉庫なども該当するかと思われる。駐車場は営んでいるケースを聞くので、これは良いのかな?ケースバイケースかもしれないけど。

太陽光パネル売電 10kWh以上
 太陽光売電の許可としても事業的規模なので、別途申請が必要だったりするので、うっかり超えた!ということにならないと思う。
一般的な家庭の屋根につける太陽光パネルの容量は3〜6kWh程度だ。

これらは、青色確定申告の「事業的規模」(所得税控除10万→65万)にも類する数字になっているので、万が一職場で指摘を受けても、税務署での扱いが事業的規模になっていない事が、自営でない事を証明する一つの根拠になるかなと思う。

逆に、総合的判断で、例えば、2棟、6室みたいな数字でも税務署から事業的規模だとされてしまったら、急いで許可を取らなければいけないと考えられる。

兼業許可申請

繰り返しになるが、上記に該当すると、それは「自ら営利企業を営んでいる」ことになるので禁止事項に該当する。
が、さらに条件があって、それをクリアすれば許可を得ることで営む事ができる。

その条件とは

・利害関係がないこと
 これは公務員として絶対。許認可を出す関係の相手だったり、何かの業務契約を結ぶ相手だったり、所管する業務の業界団体だったり、監督する法人とか、公務員としては常識的に分かると思うが、気をつけないと行けないのは、別に個人的に業務上何ら関係ない相手でも、これらの法人の職員とかだとアウトだ。

・管理業務委託をしていること
 アパート経営で自主管理は難しいと思うが、客付けや家賃集金、不動産維持管理などを自分で行うことは本業に支障をきたすおそれがあるので認められない。

・その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
 これは保険的な項目だと思う。迷惑かけんなよ。と言う事が言いたいんじゃないかな。
(追記)
公務員って行政文書や、公文書を作成するときに「等」を用いて何とでも読めるようにしておく事が(多々)ある。しかし、実際に却下する時は、却下すべき根拠がないと出来ないのが法規の大原則。将来的な事象の変化などに応じて対応できるよう、改正が大変な上位文書で大枠定めて、改正が容易な下位文書で詳細を定めるのだ。そして基本、法律で定めるのは禁止事項

なので、この項目も保険だと踏んでいたのだが、どうやらこの項目に基づいて申請却下されるような事態があるようだ。
この項目でより詳細で禁止だらけの下位文書が作られていたら如何ともし難いかもしれないが、それが無い以上は、決裁者の主観や世論の進む先になる。やはり住宅局修繕課の職員が住宅をリフォームして貸付する事業は許されないだろう。。

これらの項目をクリアして、所属長等の許可(承認)を得れば、気兼ねなく不動産賃貸業が営めてしまうと言う事だ。

ただ、現実問題は相続以外の理由で、自らバンバン購入して不動産賃貸業を始めたい。と言うのはハードルが高い。所属先の文化や上司次第、運かなと思う。

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法人立ち上げの如何

さて本題の件。

まず法人を立ち上げて、社長(役員)になれるかどうかは国家公務員法で禁じられてしまっているので、なれない。公益法人NPO法人などは良い事があるようだが、別途許可が必要になる。
一般的に公務員が会社を起こす時は家族を役員にしていると聞くのは、これがクリア出来ないのだと思う。

個人事業主は?

では、個人事業主これは白黒つける文面を見つけた。ズバリOKだと解釈される。

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について

 1 「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体」とは、商業、工業、金融業等利潤を得てこれを構成員に配分することを主目的とする企業体をいう。会社法(平成17年法律第86号)上の会社のほか、法律によって設立される法人等で、主として営利活動を営むものがこれに該当する。

つまり、禁じられる企業とは、会社法に基づく法人や一部の特殊法人(NHKとか)のような法律によって設立された法人をいう。
個人事業主は、所得税法229条に基づいて、納税の整理のために、事業所得を得るための業を開始した場合に届出をしなければならないとされるもので、あくまで「個人」で企業でも法人でも団体でもない。規模が大きい場合には家族を雇うというケースもあるかもしれないが、あくまで納税者の個人の業のための雇用となる。

所得税法 第229条 (開業等の届出)
居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から1月以内に、税務署長に提出しなければならない。

そして、「自ら営利企業を営む事」は前述の通り、該当して許可を取るケースと、該当せず許可不要のケースがあり、そのいずれかで有れば禁じられない。この場合は前述のとおり開業届が出てるか出てないかは当然に問題にならない。

という事で、メモ走りもあって長くなったが、公務員でも個人事業主にはなれる!というのが結論である❗️

最後に

これをご参考にする方が公務員なら分かると思うが、根拠法を防衛策として、しっかり身につけて、指摘があるならば毅然と戦っていただきたい。

それでも職場の文化によっては無理解な上司に指摘され、人事に吊し上げられることもあるので、可能ならやはり事前に確認して、言質をとっておくことをお勧めする。

その際の説得材料になれば幸甚である。